岐阜支部 店舗インタビュー

第9回 EC黎明期からのチャレンジ!どん底の経験を経て見出した運営法「ユニオンスポーツ株式会社」

運営サイト サッカーショップ ユニオンスポーツ

今回は株式会社ユニオンスポーツ株式会社 販売責任者 林宣孝さんにインタビューに対応頂きました。

クリック&モルタルでのスタート

堀:オリンピックイヤーということで、サッカー日本代表の出場が決定しましたが運営にも追い風になっているのではないですか?

 

林:実は、ワールドカップやオリンピックなどは当店には、それほど影響はありません。もちろん、全くのゼロと言うわけではなく若干の山が出来たかなぁ・・・という程度の盛り上がりです。と言うのも、当店が対象としているユーザー層は中高生のプレイヤーになり、スパイクなどを中心に普段使いのものを主力商品としています。なので「日本代表」よりも「選手個人」の影響を受けやすいですね。どちらかと言えば、選手の活躍次第で売れ筋が変わるという感じです。

 

堀:確かに憧れの選手のスパイクを履いて上手くなりたい…という願いは子供にはありますよね。ところで、ネット販売に取り組まれたのは、いつ頃からですか?


林:2002年に実店舗の紹介を兼ねて自社サイトを立ち上げました。ホームページ開設のために情報を収集したところ、サッカー関連品をネット販売している会社が当時はまだ1社しかなく、これはイケる!と。そこで、Web製作会社に「同じようなサイト作れますか?」と尋ねたのですが費用が莫大にかかることが判明し、出来る範囲からスタートしました。なので、サイト立ち上げ時はクリック&モルタル(※1)でのネット販売スタートでしたね。その頃、威力を発揮したのが「掲示板」。お客様からの問い合わせに回答するというコミュニケーションが、売上げにつながっていました。掲示板はPVの高いコンテンツで、掲載された「Q&A」の投稿を見て他のお客様から「買いたい!」という声が上がるようになり、それに応えるためにカートをつけ、少しづつネット販売品を増やしていきました。そうするうちにネット経由での販売量が急増し、その可能性に改めて気付かされる事に。ちょうどその頃、船井総研が主催した勉強会で「ナチュラム(http://www.naturum.co.jp/)」の取り組みを聞く機会があり、モール出店のメリットを痛感。すぐに出店の契約をし2004年11月に楽天店をオープンしました。でも今振り返ると、この決断がピンチを救ってもくれたんですね。実は楽天OPENの翌年、自社サイトで契約していたカート会社から「アクセス数にサーバーが適応できない」との理由で使用を断られたんですね。そこで自社サイトで購入されていたお客様を楽天店へ誘引し、その場をしのぎました。まさに楽天への出店がリスクヘッジになりました。

※1)インターネット上で受注して商品受け渡しと支払いを現実店舗で行う方式。または、インターネットでの在庫検索サービスなどを指す。

 

堀:レンタルカート会社から断られるとは・・・凄いアクセスだったんですね。ということは、出荷体制も大変だったのでは?

 

林:そうですね。自社サイトでの販売再開まで2ヶ月ほど時間を要しましたが、同じ時期にYahoo店もOPENしたので、とにかく在庫管理が大変でした。そこで地元岐阜の株式会社ソフテルのシステムを導入。今でこそソフテル=通販する蔵というイメージが定着していますが、当時はまだ「する蔵」が無く「利益でる蔵」という名でしたが(笑)。そこでバックヤードの運営が一気に楽になりました。その後、2008年にamazon店を出店し、販路を拡大していきましたね。

ピンチで見直した運営法

開業当初から世界を視野に

堀:店舗の増加と共に売上げも右肩上がりで順調ですか?

林:というわけでもなく・・・。実はamazon店OPENまでは順調だったのですが、その翌年の2009年がピーク。以後、4年連続で売上げを落とし前年比を上回れない状況がしばらく続いていました。2013年にはピーク時の6割の売上状況まで悪化しましたね。売上が良かった2009年頃までは、工夫なしでも売れていたという表現がぴったりで、広告を打てば響いてくれて注文が入っていた状況です。ところが同業者が増え、特色を打ち出せずにいて埋もれてしまったことが売上低迷につながったと見ています。そこで、大ナタを振って運営を抜本から見直しました。まず着手したのが「やらなくて良い仕事」のリストアップ。無駄な作業に時間を費やすのではなく、投資すべき時間・作業を整理しました。見直しの過程で浮き彫りになったのが「在庫」確認問題。在庫を探す労力を削減するため、実店舗のレジと連動し、外商部門の注文とも一元管理できるシステムへ変更しています。現在は取扱品目3000アイテム、多い時で300個ほどを出荷するのですが、それも2名のパートさんで切り盛りできるようになっています。ネットで販売する商品は全て在庫品に限っており、メーカー取り寄せは一切行っていません。これも『発注する』という工程が1つ加わってしまうので、無駄な作業と判断し在庫のみで販売に特化しています。また見直しの中で広告も“無駄な広告”は「やらなくて良い」に振り分け、広告費は月額上限30万円までとし創意工夫で販売するようにしました。「やらない事」のあぶり出しの次に見直したのが「スピード」。いかに早く、的確な仕事を行うか。その最たるものが、ページ作成の内製化。それまで外注に依存していたのを、スピード重視で社内で構築するように変更しました。内製化によって「外注が間に合っていない」という言い訳が出来ないようにし、Staff全員でネットショップを作り上げる使命感を持たせ取り組ませています。その変化がズルズル低迷していた流れを変えてくれたようで、予約販売という新たなヒットコンテンツも生み出してくれましたね。おかげで今年度は年商ギネスを更新しそうです。

堀:流れを変えるって凄いパワーが要りますよね。状況が悪い時にシステムに新たな投資をされるなど、社長の肝を据えた姿勢が全社の士気向上につながったんでしょうね。広告費を削っても年商ギネスを更新できるほどの「創意工夫」とは、具体的にどんな取り組みですか?、

林:いろいろ着手したのですが、中でも多くのお客様の支持を得られたのが「使用後返品保証」。靴の試着サービスを導入する店舗も増えて来ましたが、当店ではスパイクの「試着」ではなく、「使用」しての返品が可能というサービスを打ち出しました。サイズを合わせるだけでの試着では、グランドを走り回ってボールを蹴って・・・という履いてみてのフィット感が実感できません。なので、1ヶ月以内であれば実際にグランドで使ってボールを蹴ってみて「なんか違うな」と思ったら返品OKにしました。このサービス実現には卸業者の説得から始まり、運営開始にあたっては想定の返品率内に収まるのかドキドキしていましたが、好評の声を多く頂戴し、返品率も想定内。同業者が真似できないサービスなので当店の存在が際立ち、まさに当店が息を吹き返すきっかけとなる企画になりましたね。他にはスピード重視の話にも関連することですが、マーキング(名入れ)作業を内製化しており、インナーシャツへの名入れをサービスをしています。つい先日まで、楽天では『レビューを書いたら○○サービス』という施策が可能で、名入れもレビュー対策として行っていました。名入れを外注に頼らず社内で行える事は、発送を後らすことなくサービスを付加できるので、購入者レビューもとても良い状況です。当店の場合、使用者と購入者が異なる場合がほとんどで、使用者は中・高校生、購入者はその保護者という関係なので、購入者のお母さまからマーキングに関しては好評を頂いていますね。500円の有料ではありますが、スパイクにも刺繍で名入れサービスを行っており、これも利用者が多く「マーキング」自体が当社のサービスとして認知されていると感じています。

自店ブランド力を販促に活かす

堀:確かに、親の立場だと名入れサービスの存在はありがたい。ポチッと購入ボタンを押す、きっかけにはなりますよね。では、使用者となる中・高生向けのサービスや施策で工夫されている点は何かありますか?

 

林:これは以前から取り組んでいたことではありますが、10,000円以上の購入で当社オリジナルのバッグ(ユニオンバッグ)をプレゼントしています。プレゼントする当社の立場からは“ノベルティ”という捉え方だったので、お客様に喜んでいただいているのかは、正直、それほど意識することもありませんでした。ところが、地元で開催される大会や店舗に来店されるお客様がユニオンバッグを実際に使用しているのを見て、あらためてその価値に気付かされました。今では『デザイン』を9パターン用意し、さらにサイト上ではユニオンバッグの専用ページも作り意識して露出するよう変更。転換率が上がり、購入後押しの役目は果たしています。また同梱物も見直しました。リアル店舗に来店する中・高生は店員との会話やアドバイスを楽しみ買い物をしてくれます。そのリアルなやり取りのエッセンスだけでもネットユーザーに感じてもらいたくて、新聞形式のスタッフ紹介をはじめました。今後、継続する中で購入者との新たな関係構築ツールになれば…と期待しています。新聞というアナログ訴求に加え、コミュニケーションツールとして、中・高校生に馴染のあるツイッターも意識して使うようにしており、現在、約4000のフォローワーがいます。先日、リアルイベントで選手権の県予選チケットの販売をツイートしたところ、準備していたチケットがすぐに完売。例年2~3枚しか売れていなかったので慌てて追加しました(笑)。ツイッターの威力を痛感しましたよ。

 

堀:素晴らしい取り組みですね。購入者となる保護者への訴求ポイントと使用者の中・高生へのアプローチを使い分け、相乗効果を生み出しているように感じました。ただ、一見するとスタッフの方の負担が増えているようにも感じますが?

 

林:時間を何に使うか・・・というのを絞り込んでいるので、各自が得意分野で活躍できる環境にあります。ページ作成は原則、2名の社員が担当。先ほどもお話ししたように出荷はシステムを入れ替えたことでパートさんのみで対応できるようになりました。また、専門店として必要な商品知識、特に質問対応は実店舗のスタッフが担当するようにしています。当社が2~3階が店舗、4階が倉庫兼通販作業所となり同じ社内に常に中・高生と店頭で情報交換しているスタッフが居ますので、その知識とコミュニケーション能力もEC運営に役立てています。結果的に各自が能力を最大限に活かせる仕事に専念することで全体のクオリティアップにつながっていますね。

「ものづくり」への挑戦

堀:なるほど。スタッフさんの能力の活かし方も、売り上げ回復に直結しているようですね。最後に、今後の目標をお聞かせください。

林:3年後、5年後・・・こうなっていたいという具体的な数字目標は持たないようにしています。これだけ変化の激しい時代に、今のやり方やコンセプトがいつまでも受け入れられるとは考えていません。特にadidas、NIKEなどのメーカー自体がネット通販に取り組むようになり、メーカーサイトでしか購入できない限定モデルをリリースするなど、小売店にとってはメーカー自体が商売がたきになる時代を迎えています。だからこそ、きちんと足元を見つめ、各スタッフが担当する部門の単年目標をクリアーする動きをとることが大切だと考えています。その中で、ユニオンスポーツが『ものづくり』にチャレンジし、メーカー機能を付加する時も必要になってくると感じています。

堀:確かにライバル店がひしめきあう中、メーカーのEC進出は一番の驚異ですよね。今度、どの業界も避けて通れない問題だと思います。それでは、恒例のプレゼントのおねだりを・・・。

林:ものづくりつながりで、当店オリジナルのユニオンバッグをどうぞ(笑)

50万人に愛された「ユニオンバック」
50万人に愛された「ユニオンバック」

メルマガ読者プレゼント

今回はユニオンスポーツ株式会社さんより『ユニオンバック』を5名様にプレゼント! (色・デザインの指定はできません)


応募締切: 平成28年12月15日(木)17:00
当選者の発表は賞品の発送をもってかえさせて頂きます。
>>応募はこちらから

会社概要

社名 ユニオンスポーツ株式会社
所在地 岐阜県岐阜市県町1丁目2番地
展開店舗

[自社]

[楽天店]

[Yahoo店]