岐阜支部 店舗インタビュー

第8回 大きいサイズのメンズ服の通販サイト「ミッド・インターナショナル」

定価販売で面白いほど売れる!買いたいを加速させたコンテンツ力

運営サイト 大きいサイズのメンズ服の通販サイト「ミッド・インターナショナル」

今回は株式会社ミッド・インターナショナルの伊澤由季子さん、神野友香さん、白木良介さん、棚橋暢子さんの4名にインタビューに対応頂きました。形式上、インタビュアー堀に対し、お相手を『MID』と表記させて頂きます。

楽天創業より早いEC進出

堀:メンズアパレルの『大きさサイズ専門』として特色あるサイトを運営していらっしゃいますが、ネット通販に進出されたきっかけは?

MID:株式会社マンチェスは64年前にスーツやコートなど紳士服の重衣料を中心に扱う会社として創業したのですが、現会長が2代目として経営を引き継いでから『特色を出さなくては生き残れない』という事で『大きいサイズ専門店』へと専門化して行ったんですね。その判断の背景には会長自身“体が大きく”『着れるものがなく困っていた』という思いがあり、自らの体験が事業展開のヒントになったようです。
その後、現社長が3代目に就任した際に『重衣料だけでなくカジュアルの拡充』と『これからはネットだ!』という2つの方向性を示し、メンズのビッグサイズ専門店としてインターネット通販に乗り出しました。 マンチェスがメーカーという事もあり取引先との関係を考慮し、業態を区別するため1996年株式会社ミッド・インターナショナル(以下、MID)を設立。小売りサイトの運営を本格化させました。

堀:1996年とはずいぶん早い!3代目の現社長に先見の明があったということなんでしょうね。

MID:そうですね。『楽天さんの創業より1年早い』ので、新会社を立ち上げてまで取り組んだのはネット通販に強い可能性を感じていたと思います。
社長の決断材料のひとつに数字の裏付けがあったようで・・・肥満の指標『BMI値』を例に挙げると、BMI30以上は肥満に該当するのですが、人口の3%があてはまると言われています。そのうち半分が男性で、さらには購入層となる20代以上の比率を考えると国内には最低でも100万人の市場があるんですね。その1%のシェアを獲得しただけで1万人のユーザーがいることになる。ネットは商圏が無いので十分にビジネスが成り立つと見積もっていたようです。
サイト開設当初『サイズが合わなくて服が買えない人たちは、ネットを使い探すはず。インターネットとビッグサイズ専門店は相性が良い』と社長が話していたのを覚えています。通信回線が整っておらず、iモードすら無かった時代だからこそ“情報”が不足しており、“衣料”という必需品が買えない人々は『どんなに高いハードルがあっても、お客様の方から越えてくる。何が何でも自分に合う衣類を探してくれる』という読みが社長にはあったようです。
結果的に初年度の目標に掲げた年商3000万円を突破したので、社長の“読み”が当たったと言えますね。 Webカタログのような“写真と情報を羅列しただけ”のサイトながらも、お客様の『探す』という必死な努力があったからこそ思惑通りのスタートが切れたんだと思います。
ちなみに当初想定していた100万ユーザーの1%のシェア獲得ですが、現在5万部のカタログ冊子を購入者に定期配布していることを考えると、この数値もクリアしたことになります。

モール出店はブランディングの一環

開業当初から世界を視野に

堀:ということは、最初からトントン拍子で事業が拡大していったんですね。

MID:全てが上手く行ったわけではなく、8年前程前にレディースビッグサイズとマタニティー関連にも進出したのですが・・・。メンズと同じ手法でサイトをそれぞれ単独で運営していたものの、レディースはシーズン要素以外に流行の影響を受けやすいため売れ行きが読みにくく製造をコントロールするのが難しかった。さらに当時はニッセンのスマイルランドという圧倒的な競合通販があり、レディース販売を続けることは無駄な消耗になると判断し、メンズ1本に絞り込みました。 ターゲットをメンズに絞り込む反面、積極的な露出増のための横展開は続け、約10年前のYahoo出店を皮切りに5年前に楽天、3年前にamazonへとモールへ販路を拡大していきました。 さらに2009年からは自社サイトの海外展開を始め、中国、台湾、英語圏でそれぞれの国ドメインで運営をしています。

堀:モール店と自社サイトの役割は違うのですか?また、海外へのモール出店ではなく自社で取り組まれた理由は?

MID:そうですね。モール店は集客のためのサイトという位置づけで運営しています。自社サイトの露出強化にはSEOやPPCなどのコストがどうしてもかかってしまうのに対し、モールという安心感を優先されるユーザーやネットにあまり長けていない人々へのアプローチとして費用対効果に優れると考えています。
MIDのブランディングの為にモールの特性を利用している状況ですね。
また、海外の展開に関しては日本での立ち上げと同じように自社サイトで挑戦中です。
これは経験に基づくもので、現時点で売上の90%が国内自社サイト、7%が国内3モール、3%が海外3ドメインの比率で、この実績を見ても自社サイトだから不利に働くということは感じていません。 海外サイトは一切広告費をかけずに、SEOを意識したサイト構築と日本品質で勝負したいと取り組んでいます。 現地にもビッグサイズ専門店はありますが3Lまでとか、あっても4Lが取扱いの上限など…ニーズの取りこぼしがあると見ています。だからこそ本来あるべき『大きいサイズの専門店』として3000アイテムという品揃えと8Lまでのサイズ展開、そして日本の品質がライバルサイトを圧倒すればモールの力に頼らずとも参入余地があると考えています。
価格だけを単純比較すると現地相場に比べるとかなり高めですが、それでも欲しいと思っていただける魅力があれば“自社サイト”でも顧客の固定化が出来ると思っています。

製販一体の強み

堀:確かにアイテム数も多いし、adidasなどのブランドの集客力もあるんでしょうね。これらはマンチェスが全て製造しているのですか?

MID:マンチェスは自社で工場を持っているわけではなく、製造を外部に委託しています。adidasなどブランド品は『サイズ別注』という方式で、独自のサイズスペックをマンチェスから提供し各ブランドシリーズのビッグサイズとして製造してもらい全量を買い取っています。判りやすい表現を使うと『サイズOEM』と言えるんじゃないでしょうか。
通常のS,M,Lというサイズから派生した“型紙”のスケールアップでは、大きいサイズの服は体にフィットしません。なのでマンチェスのサイズスペックをメーカーに提供しているんですね。
その点が同業他サイトと大きな違いになります。 マンチェスとMIDとは別会社にはなりますが、マンチェスで培った『大きいサイズ』のノウハウを企画、製造に活かし、直販をMIDが担当することで2社がタッグを組み、それぞれの強みが相乗効果をもたらしています。

堀:メーカー機能と小売部門がグループ内にあれば、MIDに届いたお客様の要望をマンチェス側で商品企画に活かす・・・というのもあるのでは?

MID:はい。例えば、太っていると汗をかきやすいのですが、問題になるのが“汗ジミ”。お客様から『汗ジミは何とかならない?』と問い合わせがあり、汗ジミ対策用のTシャツを商品化しました。 他にも、お腹周りの肉に厚みがあり出っ張っている方は既存の型では“前が吊り上がる”という声があり、お腹周りだけサイズ的にゆとりをもたせた“樽型Tシャツ”をリリースしました。シルエットは商品名が示すように、まさに樽のようにお腹周りが“ぷくっ”とふくれ裾に向かって締まっていて、開発に2年の歳月を費やした自信作です。
それらの商品はマンチェスを通してアパレル他店へ流通しており、直販で得たヒントを商品化し市場に投入することで、業界全体の活性に貢献できていると考えています。

安売りするくらいなら捨てろ!

堀:相乗効果がある一方で、メーカーの系列販社ということで『やりにくい』事もあるのでは?

MID:
そうですね、安売りが出来ない事ですね。イーグルスが日本一になった2013年の楽天優勝セールですら楽天店は値引は一切しませんでした。 会長からは『安売りするくらいなら捨てろ!』と叱咤激励を受けており、いかに安売りせずに、さらには広告費も使わずに『買ってもらえるか』に全員が知恵を振り絞っての運営を続けています。

堀:具体的にはどんな取り組みをされているのですか?

MID:単なる販売サイトではなく、太った方の『困りごとを解決する』というコンテンツを充実させました。 EC業界の最近の定説では“メールマーケティングは終わった”と言われていますが、当社のメルマガ開封率は平均17%、さらにコンバージョンは6%に達しています。これも会社の方針“安売りしない”を厳守しており、特売情報ナシでの数値になるので、お悩み解決のコンテンツの有益性を示していると考えています。
販促としてメルマガは“今でも”効果を発揮するツールであり、悩み解消策を情報として流すことで消費は喚起でき、この取組を続けることが当社のファン作りに直結すると実感しています。 例えば、悩みの多い『またずれ』ひとつをとっても、またずれした場合の“対処法”や、そもそもしないための予防策は・・を情報としてお客様に提案。メルガ、Blogの両方を使うことで配信間口を広くし、かつ徹底的に訴求するようにしています。

結果的に蓄積されたBlog情報に検索経由でたどり着いた方々がサイトを訪れる・・・という好循環が生まれ、現時点ではBlogが集客の“柱”に育ちました。 メルマガを始めたころは、こんなに長文で労力をかけて書いたものが反響なかったらどうしよう・・・と効果に自信が持てなかったり、Blogも毎日毎日更新し続けて反響あるのだろうか、と疑心暗鬼になっていた時期もありましたが半年ほど続けた頃に効果が出始めたことで、会社をあげてコンテンツ充実に注力するようになったんですね。 今ではBlog担当2名で週3回更新、メルマガ担当3名で週1回の配信。
『お客様の悩みを真剣に解決しよう』という姿勢がリピーター獲得につながると信じて取り組んでいます。 こちらの“真剣”な気持ちはお客様に伝わると考え、だからこそ妥協せず中途半端を嫌い、メルマガは多い時で5~6回の書き直しをしたり、Blogに関しては過去に投稿した記事の修正やキーワードを新たに盛り込むなどメンテナンスも行うようにしています。
特にblogの修正は書いたっきりの垂れ流し状態にせず、新たな情報を盛り込んでいくことで過去の情報を蘇らせ集客につなげています。タイトルや写真を変えるだけでも過去Blogは新たな流入ツールになるんですよ。 また購入商品への同梱物も“お悩み解決”情報を入れたり、ニュースレターにStaffの写真を沢山掲載するようにして、購入者の方がMIDに親しみを持ってもらえるよう工夫しています。

かゆいところに手が届く情報が書かれた同梱物の一部。
かゆいところに手が届く情報が書かれた同梱物の一部。

世界中の大きなサイズの人を笑顔に

堀:ページを拝見すると、真剣さの側面とは別にStaffの方がヘルメットを被って登場するなど、運営を皆さんが楽しんでいる雰囲気が伝わりますよね。

MID:
そうですね。新たにリリースする“ヘルメット”を皆でかぶりツイートしたり、太った人向けのバランスボールを発売した時は、相撲部のモデル2人に実際にバランスボールに座ってもらった写真をアップしました。 太っていることがどうしてもネガティブにとらえられるので、とにかく明るく前向きになれるような雰囲気づくりを意識しています。 一見するとStaffだけが楽しんでいるようですが、お客様にも親近感を持っていただいているようで・・・最近の出来事ではメルマガにUSJの話を盛り込んで配信した際に『デブは安全バーの体格規制でUSJを楽しめない・・・』という親しみを込めた自虐ネタで返信される方がいらっしゃいました(笑)。 電話相談なども指名でかけてこられる方もいらっしゃいます。

堀:お客様とのコミュニケーションもとれていますね。これからの課題は?

MID:現在、リピーターの売上が50%を占めています。メルマガ効果でリピーターは高いコンバージョンをキープしていますが反面、新規のコンバージョンが思うほど上がってこない。ランディングの見直しなど、せっかくBlog経由で発生した流入を活かす施策を打たなければと思っています。
またスマホの売上も4割程度で“移行が遅め”だと感じており、掲載する画像数の調整、カートに入ってからの動きを変えたり、より使いやすいスマホサイトへと改修している段階です。 長いビジョンで言えば、社訓に『世界中の大きなサイズの人を笑顔に』を掲げており“大きいは格好いい”と思ってもらえるような、生活・Lifeスタイル全般の提案を目指しています。
当社のブランディングを兼ねた取り組みの一環ではありますが、フリー素材の業者と組んで肥満素材を作ってみたり、『意識の高いデブ』として著名な方と組んでメディア戦略を行ったり、とにかく“太っていることをポジティブにとらえよう”を率先できる会社でいたいです。 “大きいは格好いい”をスローガンに、これからは世界をフィールドに活躍の場を広げたいと思っています。

堀:確かにモデルに登用されている『佐々木健介』さんは、まさに“大きいは格好いい”のイメージ訴求にピッタリですね。 安売りせず、モール集客にも頼らない独自路線のお話、とても勉強になりました。ありがとうございます。 最後に・・・恒例のプレゼントおねだりを!! 

MID:
本来なら大きさサイズの衣類がウチらしいのでしょうが、読者の方は大きい方ばかりとは限りませんので・・・『大判のバスタオル』をどうぞ!

メルマガ読者プレゼント

今回はミッド・インターナショナルさんより『大判のバスタオル』をプレゼント!寒い時期は大きめのバスタオルで全身包みたいですね。

応募締切: 平成27年11月30日(月)17:00
当選者の発表は賞品の発送をもってかえさせて頂きます。
>>応募はこちらから

会社概要

社名 株式会社ミッド・インターナショナル
所在地 岐阜市香蘭3-8
展開店舗 [自社]