岐阜支部 店舗インタビュー
第11回 広告に頼らない運営!「コミュ力」と「価格戦略」で売る 「株式会社 若杉エンタープライズ」


今回は、株式会社若杉エンタープライズ 代表取締役 若杉邦彦さんにインタビューに伺いました。
本業失速でECに挑戦

安藤:私の家業が「ミシン屋」なんですが、実は以前、若杉さんとはアパレルの仕事でお会いしていまして・・・。
若杉:そうですね。もともとは「若杉接着センター」という看板を掲げ、アパレル業界で縫製前の生地に芯を補強する仕事をしていました。
しかし時代の流れに逆らえず、その本業がジリ貧状態へ陥っていく中で「なんとかしなければ・・・」という思いで、ECへ事業の舵を切ることを決意し2011年に楽天に出店しました。
私がhtmlのタグの知識が少しあり、苦労しながらもサイトを構築し上げたのですが、ありがたいことに注文を多くいただき、当初は年中無休で「出品」「出荷」に追われていましたねぇ。
いよいよ出荷が回らなくなりパートさんを雇用。人を揃えたことで余力が生まれたので、2012年にYahoo、2014年頃にポンパレ、amazon、と出店先を広げ2014年7月に法人成しEC専業の会社としての体制を整えました。
今は、もう接着の仕事はやっておらずネット一本です。
安藤:それにしても、本業と関わりの深かったアパレル系での出店ではなく、サプリメントとは意外なところで勝負されましたね。
若杉:実はECに目覚めるキッカケとなったのがヤフオクです。個人的にヤフオクで遊んでいた時期があり、この時の「売れると嬉しい」という気持ちの高揚が“ECの楽しさ”に魅了された体験となり、楽天出店の前に費用のかからないQoo10(出店当時の名称はGマーケット)で腕試しをしたんです。
当時、Qoo10はメジャーなモールではなかったので私を担当してくれた営業の人も必死で、色々提案をしてくれ、そのひとつに「サプリメント」があったんです。そんなに奨めるんだったら・・・という事でオジリナルで「生酵素」のサプリメントを作ってみたらバカ売れ!次にリリースした「フォルスコリ」も立て続けに大ヒット。G-マーケットの営業さんに背中を押されてスタートした「サプリメント」が、結果的に当社の主力商品に仕立て上げられた感じです。
その後、Qoo10での手法を楽天に転用し、広告露出で出店当初から多くの注文を頂き、ネット専業へとスムーズに事業転換できました。
「買いやすさ」重視の価格戦略

安藤:サイトを拝見すると500円のサプリメントの品揃えが多く、低価格なのに驚きます。
若杉:Qoo10での「500円で大ヒット」という成功体験が基になっており、今でも500円商品は当店の顔として豊富にラインアップしています。
Qoo10でオリジナルサプリメントを販売しようと決意した時に、正直「知識や技術・専門性」では他店に敵わない、どこで勝負すべきか??と考えました。そして、シンプルに消費者目線で「価格訴求」だと思い至ったわけです。買いやすい値段だったからこそ無名の当店サプリメントが大ヒットした。
500円だと、ちょっと気になっていたサプリや珍しいサプリにもチャレンジしやすいですよね。500円で心理的ハードルが下がり“数は出る”ので商売が成り立つんです。
また、最初から狙っていたわけではありませんが、3年ほど前から500円という買いやすい値段が中国人にもウケて「納豆キナーゼ」を中心にサプリメントのまとめ買いが増えています。500円だからこそ中国の人の目にも止まった・・・と価格が持つ商売の広がり、国境さえ越える波及力の大きさを感じます。
「楽しさ」の演出

安藤:500円サプリが爆買いの対象になっているんですね!価格的な戦略以外に販促面で意識されていることは?
若杉:昔は楽天の広告も「打てば響く」という感じでリターンがあり、1日40万円を投入したこともあったのですが、最近では効果が薄れていると感じています。先ほどのお話したようにECに取り掛かるきっかけとなったのがヤフオクで「ECの楽しさ」に目覚めたからで、この「楽しさ」をお客様にも感じていただきたいとは思い工夫はしていますね。
例えば、私の名刺なのですが(名刺を差し出しながら・・・)「種の袋」になっていて、中には四つ葉のクローバーの種が入っています。このクローバーの種“名刺”は、クーポンを使った方などに同梱しています。「素敵な出会いをありがとう」という意味を込めて四つ葉のクローバーにしているのですが、レビューでも好意的な投稿を多くいただいているので、プラスになっているのかなぁと感じています。
中には四つ葉が芽生えた写真を送ってくださる方もいらっしゃって、そんなお客様には特別に何か商品を送ったりしてコミニュケーションの継続を意識しています。
また“なぞなぞクイズ”の企画ページを作りバナーを貼り大々的にアピールしているのですが、これもお客様が買い物だけではなく参加型イベントで“楽しさ”を体感いただきたいと思い続けています。
クイズ内容は週替わりで変えて、お客様がいつ来ても内容が違う・・・そんなちょっとした楽しみを感じていただける“場”を意識して作っていますね。
もちろん基本的なSEO対策は取り組み当店がお客様の目に留まるような努力も続けてはいますが、当店を訪問いただいたお客様にいかに“楽しんでもらう”かに知恵を絞っているところです。
安藤:確かに広告効果は昔ほどありませんよね。お客様とのコミュニケーションに注力しているのは感心します。今後、どんなお店にしていきたいとお考えですか?
若杉:現在、サプリメント以外に健康グッズの取り揃えを増やしており“健康”をキーワードにした総合ショップへ脱皮を図っています。売上比率もサプリとグッズ類が5:5になり、在庫管理が煩雑に・・・。
在庫管理のシステムを導入し効率化に取り組んでいるところで、会社組織として出荷量拡大に耐えれるバックヤードの整備を並行して行っているところです。
この在庫管理システムは、他にもテストマーケティングの精度アップにも活かせ重宝しています。少量から販売を始める新商品の中から「ヒットの予兆」をつかみ、仕入れ数量をコントロールし欠品によるチャンスロスを避ける。データ管理で売り逃しを無くしたいと思っているところです。
このシステムのおかげで、テスト販売で取り組む少量の商品を多種揃えることができ、サイトのバラエティ感アップにも役立っていますね。
Qoo10で“大ヒット”を連発していた時代とは違い、お店の屋台骨を支えるようなランキング常連品を育てるのは難しい時代になりました。健康関連品は薬事法の表現制限が足かせになり、商品の魅力を伝えにくい。だからこそ、今の時代はひとつのメガヒット商品を生み出すことに心血を注ぐより、コツコツ売り上げを稼ぐ商品をいかに多く育てていくかが大切だと感じています。
その意味で在庫システムが果たしてくれる役割は大きいですね。
メルマガ、SNSで信用構築
安藤:商品アイテムが増えると「選ぶ楽しさ」も加わり、お客様にとっても魅力のある店舗になりますね。
若杉:そうですね。何が受け入れられるのか?何がヒットするのか?・・・ばかりを考え商品のセレクトをしていたら、きっと面白味も失われるのでしょうが、「とにかく少量から売ってみるか」というスタンスで品ぞろえを増やせるのは気が楽で、フットワーク軽く取り組みやすい。
そんな中から思わぬヒットを見出すこともあり、以前は「アフリカの石鹸」や「二重まぶたメガネ」というのが売れたりしました(笑)。この「二重まぶたメガネ」はテレビでも取り上げられたのですが、メディアで紹介され売上が一時的に跳ね上がるのはボーナスみたいなもので、あまり一喜一憂せず日々の地道な積み重ねが重要だとも思っています。
その意味でも広告に頼らず、お客様との「コミュニケーション」を大切にし売上を安定させることを意識しなければ・・・と考えていますね。スタッフが増え、固定費もかかるようになってきましたので利益を出し続ける仕組みづくりは重要です(笑)。
コミュニケーションツールとしてSNSは外せないですが、当店のLINE@(ラインアット)の登録者が1800人になり定期的な配信を試みているところで・・・今はまだ、どんな内容が「受けるのか?」模索中です。メルマガも配信したからと言ってドカ~ンと売り上げが上がっていたのは過去の話で、今は「費用対効果」を意識した配信は徒労に終わりますね。
だからこそ販促のタメの配信ではなく、お客様に当店の「エネルギー」を感じてもらう、とにかく前向きに「元気にお店やっていますよ」というのを伝えていく。その姿勢を持ち続けることが、コミュニケーションの基本じゃないかなぁ・・・と思っています。お客様に「あいさつ」する感覚で、気軽に声をかける。その積み重ねで「信用」を構築できるんじゃないかなぁと感じています。
安藤:広告ではなく、信用の積み重ねで売上を伸ばす姿勢は素晴らしいです。とても参考になりました。本日は、ありがとうございました。
最後に恒例のプレゼントをおねだりさせてください!
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それでは、恒例のプレゼントのおねだりを・・・。
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